*せきサイクルツーリング参加者に朴葉寿司振る舞う*第8号①
地元の伝統食召し上がれ
5月20日、ロードバイクで新緑の津保川を横目に駆け抜ける「せきサイクルツーリング2018 in津保川」が上之保温泉「ほほえみの湯」を発着点に開催された。
今年で4年目。
ロングコースは100キロを約330人、ショートコースは40キロを約150人、計480人が参加した。休憩場所が6か所設けられた。上之保特産のゆずを使用したマドレーヌ等、地元の食材や特産品などを使用した一品が振る舞われた。
そのうち、武儀地域にある、お宮の清水では朴葉寿司が振る舞われた。作るところから取材した。
協力して作る朴葉寿司
サイクルツーリング前日の19日。時刻は夜7時30分。普段は付いているはずのない調理室の明かりが灯っている。中を覗くと、大勢の女性が忙しそうに動き回っていた。
「ひとり、ふたり、さんにん…あれっ、どの方まで数えたっけ?」何人いるか数えようとするが、なかなか数えられない。15人はいるだろうか。
「かみのほ皐月クラブ」の皆さんだ。
作る数はなんと1560個。
朴葉の葉を洗う人、炊けたご飯を混ぜる人、朴葉の葉に包む人…それぞれの方がそれぞれの役割を手際よく果たしている。
手間を惜しみません
混ざっているマスは、3日前に骨を取り、さばき、酢に漬け込んでおいたもの。漬込む際、焼く人もいるが、より味を染みわたらせるために生でやるのがポイント。酢に漬込むひと手間で、身がしまって美味しくなる。
サイクルツーリング当日。朝6時。昨日せっかく包んだ朴葉の葉を広げ、見た目と風味をよくするため紅しょうがを上に載せる。
朴葉の葉パワー
朴葉寿司を包む顔くらいの大きさの朴葉の葉には殺菌作用があり、上之保地域では多くの家庭で毎年この時期になると作っている。
今回使用した朴葉の葉は18日午前中に船山地域で採取してきたもの。去年は葉が小さく適当な大きさの葉がなく、探すのに苦労したそう。朴葉の葉は成長が早く、タイミングを逃すと葉が固くなってしまう。その年によって柔らかさや大きさが変わってくる。
地域の役に立ちたい!
旧上之保村の花だった「サツキ」が由来となった「かみのほ皐月クラブ」をまとめるのは川合地区在住の加藤恵津子さんである。
同クラブ員は17人。
加藤さんが「上之保の役に立ちたい!」という想いを周囲に話すうちに自然と主に川合地区に住む同志が集まった。
7年前、第1回「スポーツと祭り・文化の祭典」が行なわれるときに声がかかり、クラブとして初めて出店した。その後、ゆず祭りや産業祭など、地元の行事には常連で出店している。出店数は今までに15回くらいになるという。「私、上之保のことが好きなんや。廃校を利用してカフェを開いて地域住民が集まれる場をつくりたい」と夢を語る。
ツーリング参加者は?
手間ひまをかけて作った朴葉寿司は、武儀地域にある「お宮の清水」でツーリング参加者に配布された。参加者に食べた感想を聞いてみた。
▼「嫁の実家が上之保で、8年前から貰って食べてます。馴染みの味でおいしいです。」(岐阜市・岡本さん)
▼「景色見ながら走るだけでなく、各休憩所で名産品を食べて地域を感じることができて楽しい。初回から参加してます。」(土岐市・片山さん)
▼「酸味があっておいしい。お酢は疲れが取れるのでありがたい」(瑞穂市・男性)
▼「沿道からいっぱい手を振ってくれて元気がでた。朴葉寿司は知り合いから毎年もらいます。」(江南市・夫婦)
タナカ記者より
地域内では「えっちゃん」と呼ばれる、加藤さん。
ツーリング前日に行われた作業を取材していると休憩時間と重なった。
クラブ員から「明日何時に来ればいいん?」と加藤さんに質問。
加藤さんは「あれとあれをやって…だから6時かな」。
「4時に来たい人は来てくれてもいいんやで」と笑いを誘う。
作業中はリーダーシップを取り、休憩中は疲れ切ったクラブ員を和ます。
私は取材で、加藤さんが、クラブ員や地域から信頼されている理由の一コマを感じた。
残念だったことが一つだけあった。クラブ員がツーリング参加者に配らなかったことだ。例年ツーリング参加者に作るだけでなく配布までしていた。受け取った参加者は地元の愛を感じたと思う。今回は作っただけの影武者となってしまった。津保川地域に親しみをもってもらうことを大切にして考えて頂きたい。
2018年5月31日発行
タナカ新聞とは・・・??
岐阜県関市上之保地域で関市地域おこし協力隊として活動する田中利弥(私)が、上之保地域で独自の目線で見つけたヒト・モノ・コトを取材し、不定期で発行。
〇掲載場所
関市上之保地域
▼上之保温泉「ほほえみの湯」 ▼上之保生涯学習センター ▼珈琲すずらん
関市武儀地域
▼道の駅「平成」 ▼武儀生涯学習センター ▼津保川診療所 ▼津保川中学校
関市街
▼関市立図書館
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